石がざわめく『動』の石庭「光明院波心庭」
光明院「波心庭」(1939年作庭)
光明院「波心庭」は重森三玲が「八相の庭」と並行して取り組んだ、自然の海や州浜の風景と三尊石を融合させて表現した庭園。小石以外の石はすべて立っています。
それぞれの石に存在感があり、どの方向から見ても美しい配列の石と自然で有機的な曲線。石が語り合っているような姿はざわめきすら感じられ、動いていないはずの石が今にも動き出す様な感覚にとらわれます。
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光明院「波心庭」は重森三玲が「八相の庭」と並行して取り組んだ、自然の海や州浜の風景と三尊石を融合させて表現した庭園。小石以外の石はすべて立っています。
それぞれの石に存在感があり、どの方向から見ても美しい配列の石と自然で有機的な曲線。石が語り合っているような姿はざわめきすら感じられ、動いていないはずの石が今にも動き出す様な感覚にとらわれます。
東福寺山内にある芬陀院(ふんだいん)には室町時代の画家、雪舟が作ったと言われる庭園があります。地割は池庭様式で、鶴島・亀島をそなえる蓬莱式。八相の庭作庭中に訪れた重森三玲が荒れていた亀島の石組を修理し、鶴島を復原しました。
茶室として使用されている部屋の丸い窓から眺める庭は、生命の息づかいを感じる生きている絵画。時を忘れてじっと座っていたくなる不思議な空間でした。
〔参考資料:シリーズ京の庭の巨匠たち1 重森三玲〕
京都東福寺方丈「八相の庭」は重森三玲の代表作(1939年作庭)。日本各地の庭を実測調査をしていた三玲が本格的に手がけた最初の庭です。石と苔、刈り込んだ植栽で庭を構成しています。
古来より続く日本庭園の本質を理解しながら、新しい感性と美意識を盛り込んだ永遠に続く生きたアート作品。今の時代を生きる私たちにも問いかける現代アートだと思います。
〔参考資料:シリーズ京の庭の巨匠たち1 重森三玲〕
2014年1月18日と19日。京都の錦市場に近い町家の宿に泊まり、2日間京都の庭巡り。2日目は思いがけず雪となり、冬ならではの景色を堪能しました。
1、自然と向き合う「修学院離宮」
2、『遊び』を楽しむ「桂離宮」
3、究極の現代アート「東福寺方丈庭園」
4、『静』の時間「芬陀院雪舟庭」
5、石がざわめく『動』の石庭「光明院波心庭」
土手が盛られた松並木の間を抜けながら巡る3つの離宮。道の両脇には田や畑が残され、景色として庭の一部になっています。頂上にある隣雲亭は質素で何の飾りもありません。そのままの景色を楽しめるよう人工物をできるだけ見えなくし、池を作るための石垣ですら生垣で覆って景色に溶け込ませています。
後水尾上皇が造営した当時の景色を守るため、借景となる山林や松並木の両側に広がる田畑を買い取り、景観の保持に努力しているようですが、畑にグリーン以外の色や人工物が使われているのが残念。
350年前の風景を後世に残してくれた後水尾上皇に感謝しつつ、日本人としてもっと景観に対する意識を向上するべきだと考えさせられる旅でもありました。