「ガーデニングと植物のしくみ」庭づくりの基本について

「フローラルガーデンの庭仕事」H28年4月22日の内容です。次回は5月20日「土とコンポスト」根が育つ環境づくり。
■ フローラルガーデンの庭仕事講座/毎月第3金曜日(4月のみ第4) 10:00〜11:30
イギリスのガーデン本を読み解きながら庭目線の園芸基礎知識を学ぶ勉強会。
園芸と庭づくりの基礎を学ぶとともにフローラルガーデンの植物について説明します。
〈講師〉 ケイズガーデン 近藤かおり(フローラルガーデンよさみチーフガーデナー) 
〈定員〉70名 〈参加費〉 無料
*お申込みはフローラルガーデン事務局0566-29-4330またはinfo@garden-yosami.jpまで


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植物のしくみ

「ガーデニングと植物のしくみ」庭づくりの基本について

What is gardening?  〜 ガーデニングって? 〜
様々な知識や技術が必要なガーデニング。その中でも現代社会に生きる多くの人々が忘れがちなのは自然寄りの「土(earthy)」の存在。これは庭づくりをする上で最も基本的で重要なツールです。
ガーデニングを通じてたくさんのことを感じてほしい。あなたの感性を使って、触れたり、味わったり、香りをかいだり、見たり聞いたりするすべてのことが、あなたを素晴らしいガーデナーに育てるでしょう。
by Alan Titchmarsh

1、庭とガーデナーの歴史
今日、庭は多くの人々にとって家族や友達とリラックスして楽しむ場所です。アウトドアリビングとして使用したり、好きな花を集めてコレクションしたり、子どもやペットが安全に遊べる場として利用したり。しかし、今までずっとそのように使われていたわけではありません。
昔、庭は権力の象徴でした。お金持ちは広大な敷地に庭を作り、莫大な費用と労働力を使い、庭を維持していました。今でもその当時の庭を見ることはできますが、現代の私たちが持つ小さな庭では同じ様な庭づくりをすることは不可能です。
100年ほど前までは一般の人にとって庭は食べ物を作る場所でした。家畜を飼い、野菜やハーブを育て、生きるための生産をする場として庭は活用されていました。
最初の本当の「庭」を生み出したのは農民です。農民は小さなスペースをより良い空間として利用できるように工夫し続け、コテージガーデンを生み出しました。
伝統的な庭仕事は家の裏で野菜やフルーツを作り、家の周りで花を育て、花の蜜を使ってミツバチを飼うことでした。第二次世界大戦が終わるまで、コテージガーデンのオーナーは野菜や玉子、蜂蜜や切花を庭先で売った少ないお金でやりくりしながら自給自足の生活をしていました。これが現在、家庭で楽しむ庭づくりを行うガーデナーの仕事の始まりです。

2、植物に必要なこと
① 生きるための水と空気
地球上の生命が生きるために不可欠な水と空気は植物にとっても大切なものです。まずは植物を生かすことを意識しましょう。多少、光や栄養が足りなくても植物は水と空気があれば生きています。

② 生育に必要な光や栄養など、環境を整えてあげること
植物は動き回れません。原産地から離れた場所で暮らす植物が健全に成育するのに必要なことは、空気と太陽の光、水と土など、育つための環境を整えてあげることです。 植物の種類によって必要な光や栄養は異なります。植物の様子を見ながら足りない光や栄養を補ってあげましょう。

3、水の働き
水はひげ根から植物に入り、葉の先から出て行きます。植物は80%以上の水から出来ていて、水は植物の体内にあるものを運ぶ役割があります。酸素や二酸化炭素を溶かし、土から無機質の栄養素を取り入れます。
植物は適温の時は水をあげればあげるほど成長していきますが、30℃を越える暑さになると成長を止め、涼しくなるのをじっと待っています。環境が悪くなった時もそうです。

4、空気の役割
空気は植物に二酸化炭素を供給します。それらは植物が光エネルギーと水を使って光合成をし、糖とデンプン(どちらも炭水化物の仲間)を作り出すのに必要な材料となります。その過程で酸素も生産します。糖は植物の成長や土から栄養素を吸い上げることに使います。デンプンは植物を構成する要素になります。
空気は窒素も含んでいて、雨が降るとそれらは土に混ざります。そしてマメ科の植物の根やバクテリアがすむ有機質がたっぷり含まれた健康的な土に留まり、植物の栄養素として利用されます。

5、光との関係
植物は光合成を通じて空気と水を利用して酸素、炭素、水素を手に入れます。 それらは植物が生育するのに必要な材料やエネルギーになります。光が当たると光合成が始まりますが、十分に光が当たらないと機能をフル活用することが出来ません。太陽光が好きな植物は光に届くように枝葉が成長します。もし、光が足りない場合は植物が守りに入り花が咲かなくなることもあります。本当に暑く太陽が照りつける場所では葉が光を反射するシルバー色になったり、ワックスで覆ったりして光から守る形にデザインされます。それらは通常多くの水を好みません。
植物は野生ではどこで成育するかを選択しています。どのようなコンディションで成育するかを知ることは植物をより良く育てることにつながります。

6、栄養と土壌
植物の成長には約30種類の無機質(化学物質)を土から取り入れることが必要です。それらは水に溶けた状態でひげ根から植物に供給されます。化学物質は自然界に存在し、天然の化学物質を植物は利用しています。
近年、研究開発され水にとけやすく人工的に作られた化学肥料が開発され、効率よく植物に栄養供給できるようになりました。しかし、必要以上の栄養を人工的に供給すると、植物自身の体力が低下したり、植物に弊害を生んだりすることがあります。また、化学肥料は微生物が分解しないので植物が利用しなかった化学物質がそのまま土壌に残ります。不自然な土壌環境になることで、微生物が住みにくくなり、さらに土壌環境が悪化することもあります。化学肥料の使用はコントロールする知識と経験が必要です。
有機質たっぷりの土壌は栄養素を土にとどめておき、栄養を植物に供給する貯蔵庫の役割を果たします。同時に水分や酸素も貯めることができます。微生物が分解する有機質肥料は栄養を植物に与え過ぎる心配がありません。
まずは有機質をたっぷりすき込んだ有機質土壌を作ることから始めると植物を育てる環境を整えやすくなるでしょう。

〈参考文献〉The Complete How to be a Gardener / Alan Titchmarsh


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